学級崩壊の現場にいる子ども達に、親ができることとは?

fami

こんにちは!公認心理師教師のシマハチです。

シマハチ
シマハチ

みなさん学級崩壊って知ってますか?

学級というのは、教師と子どもの双方で成り立っています。

そして、安定した学級にはこの中に一定のルールが機能しています。

例えば、

チャイムが鳴ったら席に座る。

授業中は席に座って授業を受ける。

勝手に教室から出ない。

人が嫌がることを言わない。

暴力を振るわない。

など、学校全体や社会で決まっているルールから、学級独自のものまでさまざまです。

学級崩壊というのは、教師と子どもの間にあるパワーバランスが崩れてしまい、このルールが機能していない状態のことをいいます。

学級崩壊の状態は、軽度のものからかなり深刻なものまでありますが、

教師が子ども達の行動を制御できなくなった時点で、崩壊の状態が始まっていると言えるのではないかと思います。

この仕事を20年ほどしているシマハチは、その現場を何度も目にしたことがあります。

実は、教師になるまでシマハチは、

シマハチ
シマハチ

学級崩壊はめずらしいことで、よっぽどひどい先生や子どもに当たらない限り起こらないものなんでしょ?

と思っていました。

しかし、実際はほとんど毎年のように、学校の中のどこかの学級が崩壊していました。

それは、ベテランの先生でも、若い先生でも起こります。

去年まで何もなかった子どもが、突然にその中心となって学級を崩壊させることもあります。

たった一人の転校生によって学級が崩壊していくことだってあります。

それくらい、普通の学校生活のすぐ近くに学級崩壊はあるのです。

学級崩壊というのは、教師にとって本当に辛いものです。

特に小学校の担任教師には、学校の中に教室以外の居場所はありません。

どれだけ子どもから暴言を言われようと、授業が成り立たない状態であろうと、朝から夕方まで教室でそれらを浴び続けなければなりません。

ですので、学級崩壊の状態になった教師の多くが心を病んでしまうのです。

そして、子どもにとってもその影響は深刻です。

心がまだ柔らかな分、その後の生き方や考え方にまで影響が及ぶことがあります。

今日は、学級崩壊の現場にいる子どもに一体どんな心の動きがあり、どんな影響が現れるのかお話ししたいと思います。

学級崩壊の現場にいる子ども達

①攻撃的不適応行動をとる子ども

学級崩壊の兆候は、子どもの不適応行動から始まります。

言葉がとげとげしくなる。

え~。嫌だ~。などの無気力を表現する言葉が増える。

友達や教師への批判が増える。

など、軽微なものから始まっていきます。

この兆候を教師が見逃したり、「大したことじゃない」と軽んじたりしていると、

不適応行動はどんどんエスカレートしていきます。

暴言をはく。

授業を妨害する発言をする。

立ち歩く。

暴力を振るう。

物を投げる。

学級崩壊の学級では、このような攻撃的な不適応行動をとるタイプの子どもと、消極的な不適応行動をとるタイプの子どもが見られます。

攻撃的不適応をとる子どもは比較的男子に多く見らます。

特に家庭の環境が満たされていない子どもや、親が威圧的攻撃的なしつけをしている子どもはこのタイプの中でも、積極的に攻撃をするようになりやすい傾向があります。

攻撃的不適応行動をとる子どもの心の中は?

では、このような一見積極的に学級を崩壊させている子どもの心はどのようになっているのでしょう。

攻撃的不適応行動をとる原因は、満たされない心の発散です。

自分が認めてもらえない。

自分の話を聞いてもらえない。

辛い気持ちを分かってもらえない。

理不尽に怒られる。

など、学級内や教師との間で満たされないフラストレーションが攻撃に変化するのです。

家庭でもこのような気持ちを抱えている子どもは、よりフラストレーションが高く、攻撃性も激しくなります。

親が攻撃的な子どもは親から攻撃的発散の仕方を学んでいるようなものなので、自信を持って攻撃します。

攻撃的不適応行動をとる子どもの、本当の姿とは?

シマハチ
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では、攻撃的不適応行動をとれば子どもの心は満たされるのでしょうか?

答えはノーです。

子どもが本当に欲しいのは、

承認であり、愛情であり、肯定感です。

攻撃的不適応をとればとるほど、これらは余計に得ることができなくなります。

そのことを子ども自身も分かっています。

でも、不適応行動を繰り返してしまうのです。

そしてそんな自分のことがどんどん嫌いになり、「自分は悪い子だ」という自己イメージを強く持つようになるのです。

外から見ると大人や友達が嫌がったり恐怖を覚えたりする行動を繰り返している。

でも実は、そんな自分に押しつぶされそうになっている。

そして自分に「悪い子」というレッテルを貼り、自分をあきらめることで、この辛い現実を生き延びようとしている。

それが、学級崩壊の中で攻撃的不適応行動をとる子どもの本当の姿です。

②消極的不適応行動をとる子ども

教師や子どもに対する暴言暴力など積極的な不適応行動は行わないけれど、適応行動をとることもない、それが消極的不適応です。

教師が、「並んで。」と声を掛けても並ばない。

授業中発言をする場面でも発言しない。

授業中、隣の子とおしゃべりをしている。

授業中に関係のない本を読んでいる。

消極的不適応は男子でも女子でも見られます。

学級崩壊のクラスの子どもの大半は、このタイプであることが多いです。

消極的不適応行動をとる子どもの心の中は?

では、このような子どもの心の中はどうなっているのでしょうか。

子どもがこのような行動をとる原因は、自分を何とか守りたいという気持ちです。

学級崩壊のクラスの中にはルールがありません。

一番強くて子どもを守ってくれるはずの教師が、その機能を失っているのです。

これは、そのクラスに属する子どもにとっては、生きるか死ぬかくらい深刻な問題です。

いつ自分に暴言暴力が降りかかってきてもおかしくない、そんな恐ろしい場所で毎日過ごさなくてはならないのですから。

自分の職場に置き換えて考えてみてください。

自分にどんな暴力が降りかかってくるか分からない、逃げ場がない場所で、一日何時間も働くことができるでしょうか?

でも子ども達は、このような過酷な環境でも毎日を過ごさなくてはなりません。

消極的不適応行動は、そんな子ども達が何とか教室で生き延びるためにとっている、生きる術であり危険回避のための行動なのです。

心にどんなダメージを受けるの?

このタイプの子どもの心に残るダメージは実はとても深刻です。

とても見えにくい、本人も気づかないようなダメージを心に与えるからです。

これはその子の今後の生き方に大きく関わってきます。

消極的不適応行動をとることで身を守ってきた子どもは、まず自分の本心を言えなくなります。

子ども
子ども

本当はちゃんと授業を受けたかった、でもそんなことをすると自分が攻撃される。

周りの状況をよく観察し、その中で自分が攻撃対象にならない行動が自分にとって一番なのだと思い込むようになります。

つまり、自分の本当の気持ちではなく、周りの状況を優先させてしまうようになるのです。

友達関係においても、大きな傷跡を残します。

「この友達が自分を攻撃しない人なのか。」を優先して考えるようになるのです。

そして、相手によってどこまで自分の心を開くかどうかを厳選するようになります。

自分も周りも親も気づかない間に、疑心暗鬼や不安が心の底に根付いてしまうのです。

この影響は、大人になっても持ち続けることが多いです。

なぜか人の目が気になる・・・。

そのように感じて悩んでいる人は、自分の昔を振り返って見てください。

学校時代のつらい体験が影響している可能性が、十分に考えられます。

学級崩壊の現場にいる子ども達に親ができること

シマハチ
シマハチ

今まさに、子どものクラスが荒れている状態の人はいませんか?

荒れた学級の状態を変えることは、学校の総力を挙げても難しい問題です。

特に小学校は一旦荒れてしまうと、そこに何人の教師を投入してもなかなかよくなることがありません。

それには学級担任という制度が深く関係していると、シマハチは感じています。

小学校の場合、学級担任に依存する部分があまりに多く、担任が崩れてしまうと立て直しが非常に困難になってしまうのです。

残念ながら、親が「何とかして!」と訴え怒鳴りこんだとしても、簡単に解決できるものではないのです。

しかし、親にしかできないこともあります。

それは、子どもの心を支え救うことです。

これだけ辛い状況の子どもの心を一番助けてあげられるのは、親であると思います。

心は器のようなものです。

学校で傷を負って中身がどんどん漏れ出ていても、家でどんどん注いであげることができます。

こうすることで、心の器がある程度満たされた状態で過ごすことができます。

すると心のダメージを減らせることができるのです。

逆に、子どもの言葉を聞いて、親がうろたえたり、怒ったり、嘆いたりしてしまうと、子どもはそれ以上本心を言うことができなくなってしまいます。

学級崩壊の現場にいる子どもにとって一番辛いのは、気持ちを受け止めてもらえる相手がいないことです。

辛い気持ちを共感的に聞く。

怒ったり嘆いたりせずに、気持ちをしっかりと受け止める。

そんな中がんばっていることをしっかりと認め、称える。

子どもの肯定感を高める言葉を掛ける。

これを親が続けてあげることで、学級の状態が改善する、もしくはクラスが変わるその時まで、子どもは心を保ちながら過ごすことができます。

この辛い状況を最小のダメージで乗り越えることができるのです。

まとめ

学級崩壊の現場というのは、本当に辛いです。

教師も、そこにいる子ども達も全員が深い傷を負います。

そのようなことが起こらないように、学校でも最善をつくさなくてはなりません。

しかし、学級担任に何でも依存してしまっている学校現場では、ちょっとしたバランスの崩れによりこのようなことが起こってしまうという現実があります。

自分の子どもにも、いつこのような事態が降りかかってくるか分かりません。

しかし親ができる最善の方法を知っていくことで、子どもの心を守ってあげることもできるのだということを、ぜひ覚えておいてください。

シマハチ
シマハチ

学校での悩みを抱えている方は、ぜひまたここに来て、一緒に解決していきましょう!

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ABOUT ME
シマハチ
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公認心理師教師
学校で働いて、約20年。 教師の傍ら心理学を勉強し、カウンセラーの資格を2つ取得。 その後、国家試験を受け、心理系唯一の国家資格である、公認心理師となる。 現在もバリバリ現役教師として働き中。カウンセラーとしても活躍中。
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