【特別支援教育】3つの種類とメリット・デメリットを比較
小学校に入学してから周りの子とのトラブルが増え、しょっちゅう担任の先生から電話が掛かってくるようになる・・・。
こんな出来事が、親が子どもの発達障害に気付くきっかけになることがあります。
自分の子どもが「発達障害かも。」と思った時に親がするべきことについては、以前の記事でお話ししました。
- 何がどのように他の子と違うと感じ何を不安に感じているのかを整理する。
- 専門機関に相談する。
- 学校に相談する
専門機関で相談すると発達検査(WISC-Ⅳ、田中ビネー知能検査Ⅴなど)を受けることができます。
それにより、子どもが持つ困難さ、障害の有無や障害の種類(診断は医療機関のみ)が分かります。
もしも自分の子どもに発達障害があると分かった場合、子どもにはんな特別支援教育を受けさせることができるのでしょう?
特別支援教育、3つの種類を紹介・比較して、それぞれのメリット・デメリットを解説するよ。
障害のある子どもの学びの場の種類
発達障害をもつ子どもがこれからたくさんのことを学んでいくには、特別な支援がとても大切になります。
文部科学省は、障害がある子どもの学びの場として、
通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校
を示しています。
それぞれどんな場所なのか、どんな障害を持った子どもが学ぶ場なのかを見てみましょう。
特別支援学校
障害のある児童生徒に対して、幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準じる教育を行う学校です。
障害による学習上または、生活上の困難を克服すること、自立をするために必要な知識や技能を授けるという目的があります。
国・公・私立合計で全国で1149校〈視62・聴85・知562・肢117・病58・複数障害種265〉あります。(令和2年)
視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者
特別支援学校
障害による学習上または、生活上の困難を克服するための学級です。
通常の小学校・中学校の中に設置されています。近年その数は大幅に増加しており、全国で66655学級あります。(令和2年)
知的障害者、肢体不自由者、病弱者および身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者、情緒障害者
通級による指導
小学校、中学校、高等学校で通常の学級(特別支援学級ではない)に在籍して学習におおむね参加できるが一部で特別な指導が必要な児童生徒に対して、障害に応じた特別の指導を行う場所です。
教室の多くが、通常の学校内にあります。
在籍するのは校区の学校の通常学級ですが、通級の名の通り、指導がある時間だけその教室に通います。
地域により、「自校通級」、「他校通級」、「巡回指導」などの形態があります。
言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者および身体虚弱者
通常の学級
通常の教育課程に基づく指導を行う場所ですが、小学校、中学校では発達障害の可能性がある児童生徒が8.8%(2022年度文部科学省調査)在籍していると言われています。
参照
文部科学省「特別支援教育の現状」
このように、特別支援教育といっても様々な学び場があります。
ですので、自分の子どもの障害の種類や程度によって、どのような場で特別支援教育を受けさせるとよいのかを考える必要があります。
特別支援教育を受けるには?
特別支援教育はいつでも誰でも受けることができる訳ではありません。
子どもがどこに就学するのか(特別支援学校、特別支援学級、通級の指導、通常の学級)の決定は、各自治体の教育委員会が行います。
その判断や決定にあたり行われるのが、就学相談です。
就学相談を受けたいと思った場合、通っている幼稚園、保育園、学校にまず相談するとよいでしょう。
就学相談は主には翌年に小学校に就学予定で、発達に不安を抱える子どもを対象に行われます。
また入学後、通常の学級から特別支援学級への転籍を考える場合なども受けることができます。
就学相談では、子どもの発達や子どもの就学先について相談することができます。
本人・保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な判断により、その子の就学先が決定します。
それぞれの学び場の特徴、メリットとデメリットを知っておこう
就学相談では、保護者の希望を伝えて相談することができますが、どの学び場を選べば子どもの成長にとってよいのか、とても悩みますね。
特別支援教育の学び場にはそれぞれの特徴があり、メリットやデメリット(その子に合う、合わない)がありますので、
それらをあらかじめ理解して就学相談に臨みたいものです。
それぞれの学びの場の、メリット、デメリットを見てみましょう。
特別支援学校
メリット
- 原則として教員免許に加え、特別支援に特化した特別支援学校教諭免許を持った先生が教えてくれる。
- 各障害種別の学校もあり、それに特化した先生が教えてくれるため、将来自立する上でその障害種に適した教育が受けられる。
- 1学級の人数は幼稚部は5人以下、小中学部は6人以下、高等部は8人以下と、少人数で行き届いた教育が受けられる。
デメリット
- 学校数が少なく、特別支援教育を受ける子どもが近年大幅に増加しているにも関わらず、特別支援学校の在籍児童生徒の増加はなだらかである。つまり、希望しても入れずに別の学び場を選択しなければならない児童生徒が多くいると推測される。
- 遠方まで通わなくてはならない場合が多く、その場合通学手段として、スクールバスや保護者の送迎が必要となる。
特別支援学級
メリット
- 1学級の人数が8人以下に設定されているため、少人数で教育が受けられる。
- 自分の住む校区の学校に通うことができる。
デメリット
- 普通の教員免許を持つ教師が指導をするため、すべての教師が同じように特別支援の知識やスキルと持っているとは限らない。
- この10年で、特別支援学級に在籍する児童は、145,431人(平成22年)から302,473人(令和2年)と倍以上になっているが、現場は人員を含め環境整備が整っていない。
通級による指導
メリット
- 校区内の通常学級に在籍するため、大半の時間をクラスの友達と過ごすことができる。
- 13人につき教員1人が配置されている。
デメリット
- 指導時間が週に1時間~8時間程と、他の学び場に比べ特別支援教育を受ける時間が少ない。
- 他校通級の形態をとっている場合が多く、その場合保護者の送迎が必要となる。
まとめ
このように特別支援教育のそれぞれの学び場には、メリットデメリットがあります。
また、障害種などにより在籍させることができない場所もあります。
教育相談に行く前に、このようなことをあらかじめ理解しておくことで、子どもに合った学びの場についてゆとりをもって考えることができます。
子どもに特別支援教育を受けさせたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
悩みを抱えている人は、ぜひまたここに来て一緒に解決しましょう!