【学校現場の実際】特別支援学級に入っても安心と言えない理由とは?
シマハチのひとり言です。
「特別支援学級」って、
一昔前は本当に「特別」なイメージをもたれがちでしたが、近ごろは特別支援についての理解も深まってきています。
だから、毎年就学相談を受ける人も増えています。
今まで何の支援もなかった子どもにとって、親や教師が支援が必要だという目を向けるということは、とてもよいことだと思います。
でも、実は「特別支援学級に入ったから安心!」という訳ではないんですよね・・・。
なぜかと言うと、特別支援学級と言っても特別な教師が担任をする訳ではないからです。
特別支援学校の教師は専門の免許が必要です。
でも、特別支援学級の教師は普通の教員免許をもった教師が担任をするんです。
教師と言っても玉石混合です。
経験を積んだ教師、浅い教師、情熱のある教師、ドライな教師、学級経営が上手い教師、毎年クラスを荒らす教師・・・・
そして、特別支援の知識が豊富な教師かどうかも玉石混合なのです。
要は、特別支援学級であっても、普通の教師が担任する場合が多いということです。
もちろん、自分が特別支援学級の担任に決まったら、そこから一生懸命に勉強する教師もたくさんいます。
しかし、そうでもない教師がいることもまた事実なんですね。
特別支援学級をもつには、やはり通常の学級とは違うスキルが相当必要になります。
しかし、そのスキルを持ち合わせているかどうかは、その教師次第ということになってしまいます。
つまり、「特別支援学級に入ったから安心で、その子に合った支援の教育が受けられる」とも限らないというのが、今の現状だということです。
実は、さらに懸念しないといけない案件もあります。
特別支援学級が、8人までの少人数で学級編成がされるということです。
それは、特別に支援が必要な子どもに対し、教師が十分な支援ができるように設定されている人数だと思いますが、
通常の学級に(定員35~40人)に比べ、格段に少ないですよね。
すると、どんなことが起こるか・・・
たとえば、前の年に通常の40人学級を崩壊させてしまった教師がいたとします。
みなさんが校長先生なら、翌年どこの学級を持たせますか?
「学級をもたせずに勉強させる。」
という選択肢を取りたいところですが、ニュースにもある通り、現場では教師不足が深刻です。
どの学校でも、まずは学級担任から埋めていかなくてはいけません。
そこで候補に挙がってくるのが、人数の少ない特別支援学級という訳です。
もちろんそんな学校だけではありません。
特別支援に十分に力を注いでいる学校もたくさんあります。
これはほんの一例です。
でも教師不足の現場をなんとか回していくためには、そして学校学級を荒らさずに玉石混合の教師を配置するためには、
このような案が挙がってくることもあり得る、ということです。
また、学校の中で特別支援学級に在籍する子どもが増えた時、通常学級でもある問題が起こる可能性があります。
それは、学級の人数が40人を超えてしまうことがあるということです。
どういうことか説明しますね。
国の決まりで通常学級の人数は40人(段階的に35人)となっています。
たとえば、
120人の学年であれば40人×3学級、
121人の学年であれば30~31人×4学級
になります。
たった1人の違いなのに、1学級の人数が10人も変わるんです。
1学級30人なのか40人なのかでは、1人の子どもに対して教師が掛けられる目も手も、全く変わってきます。
子どもにとっても教師にとっても、30人学級の方がうれしいですよね。
では、121人の学年で、特別支援学級に転籍する子が1人出た場合はどうなるでしょうか?
特別支援学級は、通常学級と同じ1学級としてカウントされます。
つまりこの場合、同じ121人であっても、
通常学級40人×3学級 + 特別支援学級1名×1学級
となるのです。
1学級の人数が30人になるのか40人になるのかは、子どもにとって一年間の学校生活クオリティーを左右する、大きなものです。
さらに、特別支援学級の子どもは、ずっと特別支援学級で過ごす訳ではありません。
子どもによっても違いますが、通常学級でとてもたくさんの時間を過ごします。
例えば、音楽・図工・道徳・体育・家庭科などの教科、給食・朝の会・帰りの会の時間は、
通常学級で他の子ども達と一緒に授業を受けたり過ごしたりする、という子どももいます。
つまり、学籍上では40人の通常学級ですが、
実際の教室には、41人分の机・ロッカー・給食など全てがあり、授業も41人で受けるという事態が起こることになります。
このカラクリでいくと、特別支援学級の子どもが増え続ける限り、通常学級の本当の人数も増え続けるということになります。
シマハチも実際に43人の学級を見ました。
高学年だったので、子どもも教師もそれはそれは窮屈で大変そうでした。
「特別支援教育は大切だ!」というのは言うまでもありません。
しかし現場の環境は整っておらず、教師の努力と根性でなんとかさせるという、
教育界の典型的なビルド&ビルドの一例です。