「マスト(べき思考)」を変える方法とは?その2
エクササイズ2「マスト」を論破しよう
こんにちは!公認心理師教師のシマハチです。
前回は、
「マスト(べき思考)」を変える方法とは? エクササイズ1「マスト」を見つけよう
のお話をしました。
怒りが爆発したりパニックに陥ったりしないためには、
・不安になった時の自分の中の「マスト」は何かを見つける練習をする。
・自分は「願い+マスト」となっているということを理解する。
・それにより、自分は怒りが湧いているんだと理解する。
「マスト」に縛られていない思考であれば、自分にとって都合が悪いことが起こっても、
「残念だなあ。」
という感情で終わります。
自分の怒りや苦しみ、パニックを子どもにそのままぶつけることもありません。
この「マスト」の思考を変えるためには、練習が必要です。
前回お話ししたエクササイズは、自分の中の「マスト」を見つけることでした。
自分の中の「マスト」があることや、それを見つけることが大切なのは分かりました。でもその後どうしたらいいの?
自分の中の「マスト」を見つけた次にすることは、「マスト」を論破することです。
論破っ!?
テレビなどでは、日常でもやもやしたことを、
「はいっ、論破っ!」
と、人がと論破してくれることで、すっきりするような番組もありましたね。
そうです。あの論破ですよ。
論破とは、議論して相手を言い負かすことですが、
論理療法では、自分の「マスト」に対し、基本的には自分で言い負かすようにしていきます。
ここで大切なのは、ただやみくもに感情的に言い負かすのではなく、論理的に科学的に言い負かすことです。
これが論理療法と言われる所以ですね。
自分の生育環境から、いつの間にか深く信じるようになっていた「マスト」が、
論理的に科学的に正しいものなのかどうかを、自分で検証していくのです。
先に言っておくと、私たちが苦しんでいる「マスト」のほとんど、99%は論理的でも科学的でもないものなんですよ。
なんか迷信みたいですね。
そんなんです。それなのに私たちはそれを信じ、それにより苦しんでいます。
ですからそれを論理的科学的に論破し、そのおかしさや矛盾を自分で深く理解することで「マスト」を変えていくことができるのです。
では今回は、エクササイズ2「マスト」を論破しよう
を、一緒にやってみましょう!
まずは「マスト」を見つけようのおさらい
最初はエクササイズ1「マスト」を見つけようのおさらいです。
まず最近自分に起こった、不安になったり心配になったりした場面を思い出してみて下さい。
家族はこの料理をおいしいと思ってくれてるのかな。
日常で起こる不安な場面を思い出し、その時の気分を十分に味わいましょう。
次にその場面の中にある、あなたの本当の「願い」は何かを考えましょう。
私はよい母でいたい。
「願い」だけを、考えた時の気分も一緒に味わいましょう。
さらに自分の中にある、不安や心配の原因となる「マスト」は何かを考えてみましょう。
私はよい母でいたい。だから家族には美味しい料理をつくらないといけない。
思考が「願い+マスト」になった時どんな感情が現れてきましたか?
その後にはさらどんな思考が現れてくるでしょう。?
私はよい母でいたい。だから家族には美味しい料理をつくらないといけない。それもできない私は母親として失格だ。
「願い」だけの時は現れることのなかった感情や思考が「マスト」の後には現れました。
この思考はほっておくと、どんどん大きくなります。
・私はこんなに苦しんでいるのに、夫はのんびりしていて許せない。
・一生懸命につくったのに、笑顔で食べないなんてなんてひどい家族だろう。
・こんなにがんばっているのに母親失格なんて、世の中はどうしようもない。
・そもそも女じゃなかったらこんな思いをしなくてよかったのに。
このように、怒りやパニックとなって、あなたの日常をさらに苦しいものにしていきます。
自分の中の「マスト」は見つかりましたか?
では、次に進みましょう。
「マスト」を論破しよう
自分の中の「マスト」を論破することは、主に自分自身でやっていきます。
今回は例として、シマハチが親サバイバーの「マスト」を論破していきたいと思います。
私はよい母でいたい。だから家族にはおいしい料理をつくらないといけない。それもできない私は母親として失格だ。
家族においしい料理をつくらないといけないのは、なぜですか?
母親としての当たり前のことだからです。
おいしい料理を母親がつくるのが当たり前とは、何かで決まっていることなのですか?
決まってはいませんが、そうするべきだとみんなが言っています。
決まってもいないことを、みんなが本当に言っているのですか?みんなを正しく言うと全人類となりますが、本当にみんながそのようなことを言っているのですか?
全人類は言っていません。でも、私の周りではみんな言っています。
では、全人類が言っている訳ではなくあなたの周りの人が言っているのですね。あなたの周りの誰が言っているのか具体的に名前を言ってみてください。
私の母です。
他は?
母以外は直接私に言ってきませんが、みんなそう思っていると思います。
では、あなたの周りの人がみんな言っているのではなく、言っているのはあなたの母親だけなのですね。それはみんなが言っていると言えますか?
いいえ、言えません。母だけが言っていました。でもみんな思っていることでしょ?
みんなそう思っているという証拠はどこにあるのでしょう?証明できますか?
証拠は・・・ありません。証明もできません。
聞いたこともなく、証拠もないのに、みんなそう思っていると言えるのでしょうか?
いいえ、みんながそう思っているとは言えません。
では、決まっている訳でも、みんなが言っている訳でもない「家族にはおいしい料理をつくらないといけない」ということを思っているは誰なのでしょう?
頭の中で私がそう思っていただけです。
それは、本当にしなければならないことなのですか?
いいえ、絶対にそうとは言えません。おいしい料理をつくれる時もあればできない時もあります。
母親失格というのはどうでしょう?おいしい料理がつくれない人は失格などというきまりでもあるのでしょうか?
きまりはありません。私がそう思っていただけです。
おいしい料理をつくれない人が、母親失格だと思いますか?
いいえ、母親失格ではありません!
いかかでしょう?
「マスト」を論理的に、科学的に論破することにより、親サバイバーの中の「マスト」を変えることができましたね。
論破することで、自分の中に合った「マスト」がいかに非科学的で現実的でないものなのかに気付くことができます。
エクササイズ2「マスト」を論破しよう まとめ
自分の中の「マスト」見つけたら、それを論理的に科学的に論破しましょう。
自分の中にある「マスト」を論破することで、怒りやパニックにつながる思考から柔軟で現実的な思考へと変化させることできます。
この記事が「全学校サバイバー」のお役に立てたらうれしいです。
学校での悩みを抱えている方は、ぜひまたここに来て、一緒に解決していきましょう!