子どもの心を落ち着かせる「共感的声掛け」とは
「嫌だ!学校に行きたくない!」と泣き叫んでいる子どもに、あなたはどんな声掛けをしていますか。
「教室まで一緒に行くから、行こうよ。」
「昨日行くって言ったんだから、約束は守らないと。」
「仕事に行かないといけないから、困らせないで。」
しかし、何を言っても、「嫌!」「無理!」「行きたくない!」の繰り返し。
お母さんは困り果てて、何と声を掛けてよいか分からない状態になってしまいます。
子どもの心が波立っている時にするべき声掛けとは
こんな時、先ほどの様な声掛けをしても子どもはますます泣いてしまい、心が落ち着くことはありません。
子どもの心が波立っている時に大切なのは、「共感的声掛け」です。
共感的声掛けとは、子どもの心の声を代弁してあげる声掛けのことです。簡単に言うと、こちらの言葉に対し子どもが「うん」とうなずけるような声掛けのことを言います。
子どもの心を親が代弁する
先ほどの状態の時の子どもの心の声を考えてみましょう。一体どんな気持ちで泣いているのでしょうか。
『学校に行きたくない。昨日は行けそうだったけど、やっぱり怖い・・・。』
こんな子どもの心の声に対して、
「学校に行きたくないんだね。」
「昨日は行けにると思ったんだよね。でもやっぱり怖かったんだね。」
と声を掛けてあげるのが、共感的声掛けです。
子どもの心の声をそのまま代弁してあげるだけなので、子どもはお母さんの声掛けに対して「うん」とうなずくことができます。
共感的声掛けをすると子どもの心に起こる変化
共感的声掛けをされた子どもの心には、どのような変化が起こるのでしょう。
心の内圧の低下
不安でいっぱいだった心の内圧が下がり、先ほどまで、泣くほど高ぶっていた気持ちが落ち着きます。
心の内圧が下がると、こちらの声が少しずつ耳に届くようになり、何を言っても「嫌!」の一辺倒だった状態から、会話ができるようになります。
気持ちの整理
気持ちを代弁してもらったことから、自分の気持ちを整理することができるようになります。
『あぁ、昨日は行けると思ってたんだな』
『やっぱり怖かったんだな』
など、自分が泣いていた理由が自分で分かるようになります。
分かってくれた安心感
そして一番大きいのが、自分の気持ちをお母さんが分かってくれたという安心感です。
不登校になってしまった子どもはとても孤独です。そして、いつも罪悪感をもっています。
お母さんが自分の気持ちを代弁してくれたことで、自分は一人ではないという安心感を得ることができると同時に、自己否定の気持ちを和らげることができるのです。
共感的声掛けをする際に必ず守るべきこと
これだけ利点のある共感的声掛けですが、やってみると案外難しいものです。なぜなら子どもが「共感してもらえた」と思える声掛けにするためには、必ず守らなくてはいけないことがあるからです。
それは、自分の願いを子どもに悟られないようにするということです。
特に「学校に行って欲しいと思うけど・・・」などの「こうなって欲しい」という気持ちは絶対に子どもに悟られないようにしないといけません。
不登校になるのは非常に感受性が強い子ども達です。親の「こうなって欲しい」を感じると、それができない自分を責め、心の回復から更に遠ざかってしまいます。
共感的声掛けは子どもに自信を取り戻させる
共感的声掛けを親が続けることで、子どもは安心感を得ることができ、自信を取り戻すことができます。
しかし、先ほども言ったとおり、「こうなって欲しい」という気持ちを出さずに子どもに声を掛けていくことは、思っているよりもずっと難しいことです。
「共感的声掛け」をするつもりがつい感情が高ぶってしまい、逆に子どもを追い詰める結果になってしまうこともよくあります。
そうならないためにも、まずは、お母さん自身の心を安定させ、自信をもって子どもに声を掛けられるようにすることが、とても大切なのです。