多くの親を迷わせる「不登校の本当の原因」とは

子どもが不登校になると、まず頭をよぎるのが「何が原因だったのだろう。」ということです。
昨日まで普通に学校に行っていたのに、突然行きたくないと泣き始めたなんて、一体学校で何があったのだろうと親は考えます。そこで子どもが、「昨日Aさんから、仲間に入らないでと言われた。私だけのけ者にされてる。」と言われれば、その原因がAさんとのトラブルであると考えるのは、当然のことです。
原因とは、取り除けば不登校が解決するもの
原因とは何なのか。原因とは「物事が起こる根本的な理由」です。つまり取り除いてしまえば物事が改善したり、元の状態に戻ったりするものを原因と言うことができます。
例えば、Aさんとの友達関係のトラブルが原因で不登校になったと考えた場合、Aさんとの関係が改善したり、クラスが変わって離れたり、極端な場合転校したりすれば、不登校は解決できると考えられます。
しかし、多くの場合はそうではありません。Aさんとの関係が改善しても子どもは、「Bさんに睨まれた。」「勉強が分からない。」「先生が怖い。」などと理由を変えて学校に行こうとはしません。
つまり、原因と思われたAさんとのトラブルは不登校の原因ではなかったということです。
学校のトラブルは何だったのか
それでは、不登校の原因だと思われたAさんとのトラブルは何だったのでしょうか。
私は、不登校になるトリガーであったと考えます。
つまり、原因は別にあるけれども引き金となるできごとであったと考えられるのです。そう考えれば、その後も学校に行きたがらない子どもの行動も納得できます。
不登校の本当の原因とは
では、本当の不登校の原因は何なのでしょう。
それは心の栄養不足です。突然にあいまいな表現になってしまってよく分からないと感じる方もいると思います。つまり、子どもの心が弱ってしまって元気が出ない状態であるということなのです。
自分が病気の時を想像してみてください。元気な時には50mを8秒で走れても、病気の時には歩くのがやっとです。普段は気付かないような石にさえつまづいてしまい、ましてや壁を登って越えるなんて、病気の時には無理な話ですよね。
心が弱っているということは、周りから見て「大したことない」「やればできる」と感じることでも、本人にとってはとてつもなく大変でつらいと感じてしまう状態であるということなのです。
つまり、Aさんとのトラブルは心が弱っていた時にやってきた「最後の一撃」とも言えます。今までは弱りながらも元気なふりをして何とか学校に行っていたけれど、もう元気なふりをする力も無くなってしまったということです。
不登校解決のカギとは
「Aさんとのトラブルが不登校の根本原因である」つまり学校の中にだけ原因があると親が思い込んでしまうと、親子で不登校の長い闇に迷い込んでしまうことになります。
なぜなら子どもの心を回復させることよりも、原因探しとそれを取り除くことに時間と気力をつぎ込んでしまうからです。しかし先ほども述べた通り、多くの場合はトラブルを解決しても不登校の解決にはつながりません。そのうち、親も子も疲れ切ってしまって、さらに不登校が長引くことになってしまいます。
不登校解決のカギは、子どもの心の弱りにいち早くフォーカスし、心を回復させてあげることにあります。そして本当の意味でそれができるのは、学校でも病院でもなく、親であると私は考えます。親が元気であるということは、それだけで不登校の解決に大きな意味をもつのです。